「くらし上手」という全く新しい料金プランが東京電力株式会社より発表されました。見慣れないプランで良く分かっていない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では、「くらし上手」がどういうプランなのか、実際におトクなのか料金プランを見て検証していきたいと思います。これから加入を検討している方の参考になれば幸いです。
※あくまでも筆者の見解です。参考としてご覧ください。プランへの加入検討の際は実際に住宅メーカーや電力会社に確認をとってご検討ください。
東京電力の新料金プラン「くらし上手」
これまでにない全く新しい「くらし上手」プランについて
「くらし上手」は東京電力株式会社が2022年2月1日より受付を開始した全く新しい料金体系のプランになります。このプランが新しいところは「太陽光発電システム」と「おひさまエコキュート」を採用することが条件になっていることです。
特に「おひさまエコキュート」は昼間時間帯に太陽光発電で発電した電気でお湯を沸かすことを前提としております。従来のエコキュートであれば、オール電化向けのプランで夜間の安い時間帯に沸かしていたものが昼夜逆転しています。
月120kWhまで使い放題の定額制の料金プラン
特徴的なところはもう一つあり、他のオール電化向けプランや従量電灯プランなどは基本的に「1kWhあたり●●円」で電気代が計算されますが、「くらし上手」は毎月120kWhまでは定額料金になっており、その範囲であればいくら使っても電気代は同じになります。120kWhを超えたら「1kWhあたり20.80円」で計算されます。
詳しい内容は以下ホームページを参照いただくことをおすすめします。
「くらし上手」の契約条件
太陽光発電設備が必要
上述しましたが太陽光発電設備が必須となっています。太陽光で発電して作った電気を「おひさまエコキュート」沸かす必要があるから当然といえば当然ですね。
おひさまエコキュートが必要
「おひさまエコキュート」は普通のエコキュートとは異なります。東京電力のホームページによると今時点(2022/6/12時点)でで対応しているのは、ダイキンとパナソニックの2つのメーカーからそれぞれ2機種ずつ(4〜7人向け 460Lと3〜5人向け 370Lのタイプ)が出ています。まだあんまり選択肢が多くないようです。
どんな人におトクなの?
使い放題の定額料金はおトクなのか?
使い放題の定額料金と説明しましたが、実際のところこれはおトクなのか。他の料金プランと比較して検証してみたいと思います。まずは「くらし上手S」の実際の料金を確認してみたいと思います。
■「くらし上手S」の2022年6月時点の料金表
基本料金 | 電力量料金 | |
定額料金120kWhまで | 従量料金120kWh超過 | |
2,500円/月 | 2,480円/月 | 20.80円/kWh |
毎月120kWhまで定額料金となっていますが、これは、1ヵ月に120kWh使っても、60kWh使っても同じ2,480円がかかることを意味します。ただ、60kWhしか使わないと120kWh使った場合と比べて、1kWhあたりの単価が高くなってしまいます。そのため、出来るだけ近くを毎月使い続ける必要があります。
■電力使用量と1kWhあたりの単価
1ヵ月60kWh 使った場合 | 1ヵ月120kWh 使った場合 |
|
---|---|---|
1kWhあたりの単価 | 約41.3円/kWh | 約20.67円/kWh |
上の表を見ると、60kWhしか使わなかった場合と120kWh使った場合で1kWhあたりの単価が倍変わってくるのがわかると思います。ちなみに120kWh全部使ったとしても120kWh超過した時の単価より少し安い程度というのも二つの表を見ると分かります。
このように、月によって電気をあまり使わない月が出てきてしまうと少しもったいないプランとなっております。夫婦で2人で暮らして共働きなどで家にいる時間が少なかったりする家庭よりも家族人数が多く、毎月電気をある程度使う方の方がおすすめだと思います。
他の料金プランと比べるとどうなの?
東京電力の他の料金プランと比べるとどうなのかを確認してみたいと思います。東京電力のプランは様々ありますが、最もオーソドックスなプランでの比較をしたいと思います。
■東京電力のプラン比較(契約アンペア数 60Aの場合)
<条件> 60A契約の場合 | ターゲット | 基本 料金 | 料金単価 | |
---|---|---|---|---|
くらし上手S | 太陽光発電と おひさまエコキュートを 採用した方向け | 2,500 円/月 | 定額料金120kWhまで | 20.67円/kWh (120kWh使用時) |
従量料金120kWh超過 | 20.80円/kWh | |||
スマートライフS | オール電化向け | 1,716 円/月 | 午前1時~6時 | 17.78円/kWh |
午前6時~翌午前1時 | 25.80円/kWh | |||
従量電灯B | ガス併用向け | 1,716 円/月 | 最初の120kWhまで | 19.88円/kWh |
120kWhをこえ300kWhまで | 26.48円/kWh | |||
上記超過 | 30.57円/kWh |
基本料金で見比べてみると、「くらし上手S」はやや高めになっています。またここでは、契約案ぺ泰右が60Aの時の料金のみ載せていますが、「スマートライフS」と「従量電灯B」は電力の使用量が少ない場合にアンペア数を下げるとその分基本料金を安く抑えられますが、「くらし上手S」は一律でこの金額がかかってきて、アンペア数が少なくて済む場合でも料金は同じです。
料金単価に関しては、オール電化向けプランの「スマートライフS」の夜間時間帯の単価が最も安くなっています。これはオール電化向けプランの特徴で深夜時間帯を安く設定する代わりに昼間時間帯の電気代が高くなっています。オール電化向けプランで暮らす方は生活を少し工夫する必要があり、電気を多く使う家電や給湯設備などは、なるべくこの安い深夜時間帯に使うことが望ましいです。オール電化で夜間に動かすことが出来る機器を多く、昼間電気をあまり使わない方はオール電化向けプランの方がオトクになる場合があります。
一方で「くらし上手S」と「従量電灯B」はいつ使ってもかかる金額は同じなのである程度自由に電気を使うことが出来ると言えます。「従量電灯B」は最初の120kWhまでは単価が安く、使用量が増えるにつれて、単価が高くなるように設定されています。やはり前節で述べた通り「くらし上手S」はある程度毎月電気を使う方の方にとって、おトクであると考えられます。
太陽光発電でおひさまエコキュートで沸かすのはおトクなの?
ここまで料金単価の話をしましたが、おひさまエコキュートを使う上での条件として、太陽光発電を使ってお湯を沸かす必要があります。しかし、現在は「固定価格買取制度(FIT制度)」というものがあり、太陽光発電した電気を買い取ってもらえる制度があります。おひさまエコキュートで売らずに電気を使うと当然その分、売れる電気が減ってしまいますが、果たしてこれがオトクなのかどうかこちらも見ておきたいと思います。
■太陽光買取価格と「くらし上手S」の比較
くらし上手 (120kWh超過時単価) | 太陽光買取価格 (2022年度) |
|
---|---|---|
単価 | 20.80円/kWh | 17円/kWh |
上記で見て頂いたように太陽光買取価格が一昔前は48円/kWhの時代がありましたが、今現在はその半分以下になっており、2022年度単価は17円/kWhとなっております。売っても17円にしかなりませんが、おひさまエコキュートでお湯を沸かすことに使用するとその分電気を買わずに済むので、20.80円の価値を生みます。つまり、太陽光発電でおひさまエコキュートを沸かすのは今はおトクといえます。
ただし、これは料金単価によって変わっていきますので、今後料金単価が劇的に下がって太陽光買取価格を下回ったときは話が変わってきます。ただ、現状は原油高等の影響により、電気代は上昇傾向にありますので、この状況は当分は変わらないと考えています。
「固定価格買取制度(FIT制度)」について詳しくは以下の記事をご参照ください。
まとめ
この記事では、東京電力株式会社が始めた新しい料金プランについてご紹介させていただきました。「くらし上手」は太陽光発電システムと「おひさまエコキュート」を採用されていることが前提となり、かつ比較的電力使用が毎月一定以上使う方の方がおトクになると思います。料金単価で独自に検証した結果になりますので、参考になれば幸いです。※あくまでも筆者の見解ですので、実際に住宅メーカーや電力会社に話を聞いてからご判断下さい。
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